夏の事。

「だってお前、沢山苦しんでたじゃん。」

タケルはあかりに対してこう言った。

「子ども出来たって、何したって、お前はずっと苦しんでた。
それに対して、なんで責めなきゃいけないんだ?
飛び降りたのだって、周りに言えなかったからだろ?
裏切られて、悲しかったからだろ?」

と。


「や…でも。」

「確かにさ、飛び降りたりして、周りに相当迷惑かけたし、心配も、かけた筈なんだ。
それは責められて良いと思う。
けど、全部お前を責める…なんて言う事は、世界中探したっていねーよ。

お前は別に謝る人なんていねぇ。

あ…ばあちゃんとかじいちゃんとか…子どもに謝る事はあってもな…」

「……ッ、でもっ……」


「でもじゃねーよ。
さっきからでもって続けてるけど。」

「そ、そんな事ないよっ!!…私いっぱい迷惑かけたし……」

あかりのその言葉に


「だーからー違うって言ってるだろ?
そんな事よりさ?
お前先の事見てみろよ?
将来何がしたいのか…とか、どんな家に住みたいか…とか。
そんな風に考えてた方が断然楽しい。」


タケルは「過去の事に執着せずに、もっと前を見ろ」と言う意味であかりに言った。


あかりは

「ねぇ、タケルは将来何やりたいの?」と聞いた。

タケルは一瞬戸惑いつつ、

「昔から思ってたのは、家を継ぐこと。」

とあかりに告げた。

「だから、今、じいちゃんの手伝いもしてんだ。

父さんが、継ぐなら沢山経験積んどいた方がいいって言うから。

まぁ…その前から手伝ってたんだけどな」


苦笑いでタケルは言った。