「だってさ?突然雑誌とか投げちゃったし。では揚句のはてに「心配なんかしないで」なんて偉そうな事言ったような気がしてさ…」

タケルは黙って聞く。

(何を言おうとしてんだ?)

タケルにはその事ばかりが分からない。


「私、さ、この村に来る前の話なんて、タケルに知って欲しくなかったの。」

「………」

(確かに知られたくないわな……)

あかりの気持ちを思うと、「何言ってんだ、お前」と笑い飛ばす事は出来ない。

あかりはシュッと消えた花火を、水を溜めたバケツに入れ、次の花火をローソク付ける。

「しっかし、こんなに大量に花火、二人で消費しろっつっても、無理な話だよね〜」


あかりは沢山ある花火に少し途方に暮れた様に言った。


「なんでこんなに買っちゃったんだろうね」


と言った時。

タケルは、あかりが来る前、そういえば、祖父が喜々として食料などを買い込んだ際に、この花火も含まれていたような、そんな気がした。


(じいちゃん、もしかしたら一緒にやるつもりだったのかも…)

タケルは思い、


「うし!!半分残そっ。今度は二人きりじゃなく、皆でやろうや」


と言う。


「そだねっ!!」


とあかりが言い、半分の花火を紙袋に戻した。

残る花火は僅かだけ。


タケルは


「でもさ…俺、あかりが話してくれて良かったなって感じてたんだ。」

と、俯きながら言った。


「え、なんでっ?!」

あかりは驚いたようにそう言う。


「だってよ。来たばかりの頃、お前俯いてるばっかで、俺ともみんなとも、何も話そうとしなかったじゃん。」


「…それはっ!!」

あかりは俯く。


「お前の相手に対して、許せねーって思ったけど、お前に対してはそんな風に思ってない。」


「それってどういうこと?」


あかりはタケルに問う。