夏の事。

あかりは愕然とした。

「な、なんでそんな事知…!!」

あかりの言葉に被せるようにタケルは
「一週間前に、さ。
俺聞いちゃったんだ。
あかりが部屋で誰かと話してるトコ。」

と言った。


…アヤトとの電話の事だ…。


あかりはそう思った。


「あの日、さ。
お前体調わりぃっつって仕事休んだろ?
だから、様子見ようと思って、階段昇ってお前の部屋の前まで行ったんだ。

…したら、そんな話してるあかりの声、聞こえて来たんだよね…」


「……ッ!!」


タケルには、知られたくなかった。


それは何故だか分からないけれど、この村に来る前から、腫れ物に触るかの様に…、また、自分がしてしまった事を自分でも、周りにも相当責められたからだとあかりは思った。

祖母や祖父、ヒサシはあかりの事をとても大切にしてくれる。

起こった事も、この村に来てからは何も言わなかった。

けど、責められたい、とも思ってた。

子どもが5ヶ月になるまで、親に何も言わないで屋上から飛び降りたこと。

ずっと親に対して不満を抱えていた事さえも、きっと祖母に言ってれば、何か変わっていた筈なのに。
そう思ってた。


だから、何も知らないタケルが、何の気無しにあかりに接してくれてる事が、あかりにとってはとても救われる思いだったのだ。