私は今、絶賛反省中だ。

寝相の悪い私がベッドから落ちて雪お兄ちゃんがそれを戻そうとしたらしい。

それなのに私が寝ぼけて雪お兄ちゃんに抱き着き(絡み付き)動けなくしたあげくそのまま、雪お兄ちゃんの上でまた寝たそうな。

おかげで次の日に私は風邪から完全復帰出来たものの、雪お兄ちゃんに移してしまった。

「ごめんね、雪お兄ちゃん…。」

「ははは…。
気にするな~。」

お詫びにもならないけど今日は私が雪お兄ちゃんの看病している。
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「情けなっ!!」

事の顛末を伝えて氷嚢を作ってもらおうとしたら琥珀・うさぎ・るーちゃんが声を揃えて言った。

「酷くない?
何も声を揃えて言わなくても…。」

「だって姉ちゃんの看病に行ってたんだろ?」

「ミイラ捕りがミイラになった、か。
少し格好つかないよね。」

「本当に締まらん奴やな~。
格好悪い通り越してなんか哀れになって涙出てきたわ。」

るーちゃんが泣きまねをして時折目元をハンカチでおさえつつ素早く氷嚢を作るという芸当を見せてくれた。

「器用だね、るーちゃん…。」

「ほれ、何ぼさっとしてんねん。
感心しとらんでええからさっさとこれ渡してきいや。
待っとるのとちゃうん?
後で他の人らと見舞いに行くからよろしゅう。」
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氷嚢と林檎を雪お兄ちゃんの部屋に持って来て今に至る。

そういえば伝えてなかったっけ。

「雪お兄ちゃん、後で皆がお見舞いに来てくれるって。」

「その申し出は有り難いはずなのに、なんでだろうな。
嫌な予感しかしないんだが…。」

「あはは…。」

私も同じ事を考えていたから空笑いしか出て来ない。

一体何を企んでいるのだろうかあの人達は…。

シャリシャリ林檎の皮をむきながら考えていると雪お兄ちゃんがこっちを観ている事に気付いた。

「なぁに?」

「いや、林檎の皮。
細いのに切れないものだな~と。
聖歌も結構、手先器用だよな。」

「とりあえず家では主婦してますから。
その経歴が長いだけだよ。」