オパール・オッドアイ

ちょうど体も洗い終わっていざお風呂に入ろうとした時だった。

「えっ!?」

「ん?」

外を歩いているうさぎと目があった。

思考回路が停止して頭の中が真っ白になる。

うさぎの方はどんどん顔が真っ赤になってきている。

お互い固まって動けないでいた。

先に動いたのはうさぎ。

「ご、ごめん!!」

クルッと回れ右をして海の方に走っていく。
うさぎが海に飛び込んだのを見送った後私の意識も戻ってきた。

「~~~っ!!!」

遅れて声にならない悲鳴を上げながら勢いよく浴槽に潜った。


気まずい。
気まず過ぎる。

あれから時間が経過し今は夕食中。
お互い目を逢わさないようにして一言も交わしていない。

「どうしたんだ、お前ら?
聖歌が全く喋らないのも珍しいけど、椋兎がここまで大人しいなんて今まで無かったよな?」

「「何でもないです!」」

綺麗にハモって更に気まずい。
どうしたらいいんだろう…?
とにかくご飯を食べ終わろう!
そう思ってひたすらもくもくと食べ続けた。

一人食べ終わった私は今日は疲れたからもう休むと言って寝室に入った。

行儀も感じも悪いのは重々承知しているけど、あの場に居る事が耐えられなかった。
思い出すだけで恥ずかしさで悶えながら発狂しそう。
寝室に入っても寝付けるはずもなく少し散歩してくることにした。

波打際を一人歩く。
気温はだいぶ涼しく過ごしやすくなっている。
途中砂浜に腰を下ろし海を眺めた。

「…私が悪いのは判ってるんだけどな~。」

私は海から見える可能性のある場所にいて、うさぎはたまたま風呂場の横を通っただけで、どちらかと言えば被害者に近い。
でも私から謝るのは何か違う気がする。

「それでもやっぱり謝らなきゃいけないのかな?
裸見せてごめんなさいって?
露出狂じゃないのに。」

う~っと唸りながら丸まっていると突然首に冷たい物が当たった。

「ひゃあっ!
何っ!?」

「ミネラルウォーター。
部屋にいないから捜したよ。
聖歌はここで何してるんだ?
露出狂がどうって言ってたけど何の事?」

後ろを振り向くと雪お兄ちゃんがミネラルウォーターを二本持って立っていた。