さすがに身の危険を感じたのか、ぱっと手を離す。

「ご、ごめん…。
そんなに怒らなくても~。」

ギロッ

「ごめんなさい!
睨まないでっ!ねっ?」

「…いつまで馬乗りになってるつもり?」

「すぐに退かせていただきます!!
…でも退いたら逃げるよね?」

「当たり前でしょ!?」

「出来れば逃げない方向で。」

「もし逃げるって答えたら?」

「その場合無理矢理にでも残ってもらう。
嘘を言って逃げ出した時も同じ。
俺、男だし声を出すより速く捕まえてどうにかする。
やり方はいくらでもあるよ?
それに、君可愛いしね。」

「最悪。気持ち悪い。」

「酷いな。
出来れば嫌われたくない。
もう遅いとは思うけどね。」

落下したとき受け止めようとしてくれたときの少しの感謝心は、この時すっかり無くなっていた。
私に拒否権など無いのだからさっさと済ませてしまおう。

「…で?
私に何のようなの?


「また俺に君の瞳を見せてくれないかな?」

「有り得ない。」

「即答だね。」

「なんでたいして知りもしない赤の他人に自分の嫌いな場所見せなきゃいけないのよ!
ふざけないで!
ただでさえ人と接触がない生活して瞳のこと隠していたのにわざわざそれを曝す!?
…もう二度と外に出ないわ。
そうすれば貴方なんかに遇わずにすむ。
…いや、いっそのこと家で自殺しましょう。
何処の誰だか判らない伝説検証の男の人に辱められたって遺書に書くわ。
身体特徴やマスコミにもちゃんと売り込むように書き添えて。」

「えぇっ!?
自殺はちょっと待って!
判った!瞳を見たいとは言わない!
でもまた俺と会ってほしいんだ!
頼む!」