驚きのあまり普通に呼吸が出来るようになっている事に気づいた。

「いろいろ言いたい事はあるけどこれで我慢するわ。
今後の教訓にして。
乙女の髪、許可も無く切ってんじゃねぇよ!」

顔面をグーで殴った。
ボカッと良い音がした。

「すいませんでした。」

結構痛かったらしく涙目だ。

切られてしまったものはしかたがない。
下を向くと切られた髪が見えて泣きそうになるので目の前の鏡を見る。

「上手だね。」

「?」

「髪切るの、上手。
それに編み込むのも。
また本見て覚えたの?」

「あぁ、編み込みは本。
カットは見よう見真似だよ。」

実験台にされたような複雑な気持ちだ。

「そう。とりあえず切ってくれてありがとう。
軽くなったし、これなら外にも出て行ける。
それじゃあショッピングに出かけましょうか。」

「え?
俺も行くの!?
まあ荷物持ちくらいなら…。」

「何を言ってるの?琥珀ちゃん。
一緒にショッピングを楽しみましょう?」

「琥珀《ちゃん》?
な、なにその眩しい笑顔!
ま、待って!
落ち着いて、姉ちゃん!」

「私は落ち着いているわ?
早くお洒落してショッピングに行きましょうよ!ねっ?
化粧もしましょうか!」

「止せ!止めろ!
こっち来るなー!!!
ギャーーー!!」

    ・
    ・
    ・

「はい!出来上がり~。
やっぱり顔そっくりだね。
よく似合ってるよ琥珀ちゃん!」

「なんで俺がこんなめに…。(泣)」

「もう~。泣かないの!化粧崩れちゃうじゃない!」

「こんな姿友達にでも見つかったらその場で舌噛み切って死んでやる。」

「大丈夫だって!
見てもばれないように化粧したんだから!」