オパール・オッドアイ

「今晩は、雪お兄ちゃん。
また来ちゃった。」

「ああ。よく来たな!
今日は椋兎来ないから安心していたら、もう逢っていたのな。」

「うん、途中で。
そうだ、はい!」

「なんだ?」

「ここに来る途中で四つ葉見つけたの!あげる!」

「よく見つけたな~。ありがとう。
頭の花冠も良く似合ってるぞ。」

「えへへ~。
公園でね白詰草が満開だったよ!」

「そうか。ちょっとこっち来な。」

「なに?」

「この前のピンは?」

「持ってるけど…。」

「貸して。前髪留めてやるから。」

「えー。」

「えー、じゃありません。
視力落ちるって言ってるだろ!」

「だって…。」
ちらっとうさぎをみる。

「椋兎だって瞳の事もう知っているんだろ?
なら気にするな。
視力の方を気にしろ!
それに前髪留めたほうが似合う。」

「…じゃあ、留める。」

「うん、いい子。」

鶴の一声で思わず頷いてしまった。

そっと前髪をとり横にピンを痛くないようにゆっくりさしてくれる雪お兄ちゃん。

「光が眩しい。」

「そのうち慣れるさ。やっぱりこっちのほうが可愛い。」

ボフッと顔が赤く暑くなる。

「ありがとう。」

「!
…ピンク色?」

横で一部始終を見ていたうさぎが驚いたように固まっている


「?」

「今日はそいつずいぶん静かだな。
まあ邪魔されないから良いけど。」

「…今日はもう帰ります。」

「どうした?
いつもはしつこいくらい食い下がるのに今日は本当に珍しいな。」

「ちょっと考えたいことが。
あと聖歌、さっきの事聞きたいから後で連絡する。」

「…。」

「それじゃあ、また来ます。」

「なんだ?あいつ。
ここに到着するまでに何かあった?」

無言で首を横に振る私に雪お兄ちゃんはそれ以上詳しく聞いてこなかった。
結局その日雪お兄ちゃんとの会話もそこそこにして早めに家に帰った。
気持ちがざわめく。
私の中で何かが変わり始めていた。