静かな夜に、声の波紋が広がった。

そうだ。

もっと早く気づくべきだった。

俺には責任があるということに。

アイツを捨てることなんて、

もう俺には出来ないだろうってことに。


「そんなこと言って、きっと後悔するよ」

「そうしないともっと後悔する。俺は決めたんだ。今、アイツの笑顔を守りたいから」


和美は、俺を無表情に見つめたが、

やがて、ニッコリ微笑んだ。


「そっか。なら良かったよ。だって――」