「…薫くんたら、冷静だなぁ。

ま、コータくんとは仲間じゃないけど、絵里奈を通して手伝ってもらったの」


和美は、軽くブランコを揺らす。



「絵里奈?あいつもグルか?」



「絵里奈は私の言うこと何でも聞くんだ。

中学のとき、私にイジメられてたのがトラウマなのかな?

薫くんの部屋へ行って、DNA鑑定書を探し出して砺波ヒカルに見せたり、ショッピングモールの6階から、人形を落としてくれたりね。

あの人形、よく出来てたでしょ?手芸部で作ったの」



「なっ……」



そんなことまで…。

色々問い詰めたいが、今は…。


「大翔はどこにいる?」


和美は学祭のときと同じように、明るく微笑んだ。


「ふふ。やっぱり、慌てる薫くんって、かわいいなぁ」


思わず、和美の胸倉をつかむ。

女を殴るのは気がひけるがでも。

和美は笑みを消して、俺を見る。


「私の携帯、今通話中。

私に手をだしたら、大翔くんを連れている仲間に聞こえちゃうよ。

そしたら、どうなるか、分かるよね?」

「……本気か?」

「もちろん」


俺は和美を睨みつけ、しぶしぶ手を放した。

和美は再びブランコを揺らす。


「心配しなくても、あなたのベイビーは無事」


「…なぜこんなことをする?ヒカルにウソまでつかせて」


「ウソ?脅迫文がどうの、って言ってたあれ?悪いけど、私は知らない。
彼女が勝手にしたことよ」