そう尋ねると、人影――

米島和美は、驚いたように立ち上がった。


「薫くん、どうしたの?ひどい怪我!」

「…それより、聞きたい。
ヒカルが、胸にお前のブローチを付けていた。
尚輝がお前に学祭で買ってやったものだ」


和美は首を傾げた。


「そのために呼び出したの?
たまたま、砺波さんが、同じブローチを持ってたんでしょ?」

「彩知大は美大だ。学祭で売られるアクセサリーは毎年手作りで、同じ物はない。
しかも、あのブローチ、よく見りゃ、カメラのレンズが見えたぞ。どういうことだ?」


「……さあ」


「最初、ヒカルはブローチなんてつけてなかった。

俺が気絶してる間に、誰かがヒカルを脅して付けさせたんだ。

…それとも和美、自分のブローチは盗難にあったとでも言うか?」



すると、

和美はふふっと笑った。