結局、人形の犯人は分かってない。

尚樹は、ショッピングモールの誘いの電話を教室でかけていた。

和美も、友達に話していたらしい。

つまり、俺があそこへ行くことを、誰が知ってても不思議じゃない。

やれやれ。

カヨちゃん先生の殺気立った補習を追え、俺はプレハブへ向かった。

ベビールームには、ヒカルがいた。

大翔をあやしている。


「遅かったね」

「カヨちゃんにこってりしぼられちゃって」


ヒカルは荷物を持ち、立ち上がる。

付き合ってたときみたいに、一緒には帰らない。


「じゃね」

「…ああ、ありがとな」


そのとき、窓にパタリ、と雨音。

ポタ、ぱた、ポタ。

サアァァァァ