思わず立ち上がる。
「どうしたの?」
和美の怪訝そうな声。
「ちょっと、待ってて」
俺は、さりげなくその不審人物へ近づいていった。
そいつは、俺に気付くなり、
パッと背を向け、走り出した。
一瞬あっけにとられ、すぐに後を追う。
「すいません!ちょっと!!」
声をかけるも、そいつは止まらない。
エレベーターに駆け込んだ。
扉が閉まり始める。
くそ!間に合わない!
閉まり切る直前、
赤ん坊の顔がチラッと見えた。
……ウソだろ?
階段を3段飛ばしで駆け上がる。
どうなってる?
大翔は託児所に預けたのに。
呼吸が乱れる。
血液が逆流する。
5階に着いたとき、エレベーターが1つ上の階でとまったことを確認した。
