ーーーーーー クスッ 可哀想な子







その声が聞こえて
あたしは閉じていた瞼を開ける。







ーーーーーー クスクス 本当に可哀想な子










『……な…ッ…』





気付けばあたしの鳩尾にあの匂いがする刀が刺さっていた。







だが
不思議と痛みはない。








『―― ゴプッ……』




あたしの口からは血がボタボタ落ちていく。










ふと
空を見上げると

真っ暗な闇に小さな光が点々と

闇に飲まれないように輝いていた。



その中でも一際目立つ真っ白な月は


まるで


あたしを嘲笑うかのように


不気味に輝いていた。