あたしが泣き始めてからどれくらいたっただろうか。



もう随分と時間が経ったような気がする。



「……グス…………ありがとう……もう大丈夫だ」



「辛くなったら吐き出せばいいんだからね?」



ソイツは念を押すように言った。








「……椎名 隼人、」



「ん?」



「これからよろしくな」



「フッ、あぁ、よろしく。

殺し屋?」



「……“一之瀬 アイ”だ、暴走族」








あたしらはそう言った。








「あ、アイ。

はい、これあげる」



隼人が手に持っているのは


いつもつけている緋色のピアス。



「くれるのか?」



「もちろん」



………………。



あ、



「じゃ、あたしのもあげようか?」



あたしは冗談で言った。



つもりだったのに。



「ほんとッ!!!??」



目をキラキラさせて言う。



「……あ、あぁ」









結局


あたしらはお互いのピアスを片方だけ交換した。