「ただいまー」 「ごはんー」 あたしらは家に入る。 「………………」 「あ、れ?」 あたしもリュウ兄もいつもと違うことに気がついた。 いつもなら必ず母さんが出てきて『おかえりー』と言って笑ってくれるのに。 今日はそれがない。 「かーさん?」 あたしは恐る恐る部屋に入る。 今日はなんだか自分の家なのに自分の家じゃない気がした。