玄関に置いてあった物をどけ、
荷物が置けるであろうスペースを確保した


「こちらで大丈夫ですか?」

「あ、はい。お願いします」


無事にすべてを置き終わり、
見送ろうとすると、
再び配達員さんが口を開いた。


「それではこちらにも、
 ハンコ押していただけますか?」


差し出されたのは、婚姻届。



見間違いかと、数度見る。

……いや、確かにこれは婚姻届。

配達員さんは笑顔だ。



「……ドッキリでしょうか?」

「いえ、本気です!」


俺は黙って、ドアを閉めた。



きっと白昼夢だ。