『何で嘘ついたの?』
本当は用事なんて無いんでしょ?と、
淡々と久森は喋りかけてくる。
俺は、向こうとは違う環境音のする方へと
慎重に見極めつつ、移動する。
『ねえ、嫌い?俺の事嫌い?』
「……そんな事思ってないから!」
怖いとは思ってるけど。
何?グッズの効果?
『じゃあ、好き?』
「……え、」
何て答えればいいんだ?
『俺は好きだよ、大好きだよ。
っていうかさ、何で遠ざかるの?』
俺と同じように、
向こうも周りの音を聞いているらしい。
怖いよ!
ヤンデレなの?!
『ねえ、逃げないでよ
……逃げんなよ』
そうは言われても、足は止まらない。
『あ、駅じゃん』
その言葉に顔をあげると、
確かに俺は改札の方へと来ていた。
……電車に乗って、久森が乗れなければ
ひとまず逃げる事が出来るだろう。
それに賭けよう!



