『先輩は…私を通して誰を見てるんですか……?』 震える私の言葉に先輩は目を見開いた。 『私は…私は楓ですっ茜さん…茜さんじゃありませんよっ!!』 泣きながら叫ぶ私に先輩は眉を下げて、悲しい顔をする。 『私は…ずっと先輩のこと見てきました。だけど…先輩の瞳には私は写ってないんですね…私はっ…私は茜さんの代わりにはなれません…だからっ…だからっ』 "さようなら" 言いたくなかったその5文字を言って、無我夢中で走った。