そして、今日もベンチに座って空を眺める先輩を見て、人は…愛する人のためならどんなこともやってのけてしまうんだと感じさせられた。 『彩斗先輩…』 「あれ?楓ちゃん?」 先輩は私を見た瞬間、優しい笑顔で微笑んだ。 ………それは…誰に向けられたもの? 「楓ちゃんなんでこんなところに………え?」 過去を知ってしまった私には…あまりにもその笑顔は残酷すぎて…涙が止まらない。 「楓ちゃんっどうしたの…」 と言って先輩が伸ばしてくれた手を、私は払いのけた。