「………っぱい……松浦先輩!」

仁藤の強い声に、浩二は現実に戻された。

「何?聞いてるよ。」

「嘘ばっか…。なんも聞いてくれていない…。」

「……ごめん……。」

浩二には気の利いた言い訳はできなかった。

「先輩って、演技に入ってる時はすごいのになぁ〜。」

仁藤は空を見上げた。

「俺なんて…、たいしたことないよ…。それに、仁藤さんの方が先輩だし。」