その日の夕食後、浩二と仁藤は新舞子の堤防に立っていた。 「結局…、今夜も波のワルツは無しかな…。」 浩二が囁いた。 返す波の音だけが辺りにしていた。 「そうね…。結局、願掛けできなかったね…。」 仁藤は俯いた。 「でも…さ…。」 浩二の言葉を仁藤は遮った。 「いいの…。いるんでしょ?」 仁藤は自分の背丈程の後方の堤防の壁を見た。