「だから、たまたま側にいて…、覗き込まれて…。」

浩二は弁明した。

「知らない!」

仁藤は浩二を突き放して宿に向かった。

「ちょ…ちょっと…マジで…。」

酷く慌てた浩二の声がし、仁藤はハッとした。

『私、また…。』

振り返った仁藤の視野に浩二の姿はなかった。