【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~

ドアを閉めて、シャワーの栓を勢い良く開いた。


水からお湯へと温度が上がっていき、すぐにバスルームいっぱいに湯気が広がる。


曇った鏡に、ぼんやり写る私の顔は、ただのオバさんだ。


若い子に釣られて、こんな所までやって来た、哀れな………


私は、シャワーを止めて、そのままバスルームを出た。


「あ、あのね………」

シュウは、ベットの上に横になり、黙ったまま私を見ている。


「ごめんね、お金払うわ。いくら?」


私は、床に置いたままのバックを拾いあげようとした。


「野梨子、素敵だよ」

「本当に、ごめんなさい。あたし、やっぱり………」