「……っ…ふっ……。」


俺(真紘)を抱きしめている希の手が少し震えていて、僅かな振動が小さな身体全体に伝わる。

少し漏れた希の声に、希の顔を覗いた俺は一瞬言葉を失う。

希は泣いていた。とても静かに。




希………?




「あっあ、う〜。」


声を出した俺(真紘)に、希は涙が溜まった目を細めて小さく笑う。


「ごめん……真紘。……ごめんね。」


なぜだか、希は俺(真紘)にそう謝って俺(真紘)のぽっこりと出たお腹に顔を埋めた。


謝りたいのは俺の方だ。


今まで家のこと全部、希に任せてごめん。

今まで真紘のこと全部、希に任せてごめん。

そういうことわからないからって、逃げてごめん。

一人で悩ませて、ごめん。

相談とか愚痴とか聞いてやってなくて、ごめん。

何も話してなくて、ごめん。

今頃こんなことに気づいて、ごめん。




こんな旦那で、ごめん。


伝えたいことはたくさんあるのに、

真紘になってる今の俺にはどう頑張っても伝えられなくて、もどかしくて……


「あ、あ〜う〜……」


ようやく出た一言二言に、希への想いが溢れるのと同時に涙が溢れた。



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