ウォルフとワタシ



何となく酒場の方角へと向かう私は、その足でウォルフを迎えに行くつもりだった。

歩きながら考える。


何度もキスを交わした事のあるウォルフと私。

一度だけれど、身体を重ねた事のあるウォルフと私。

なんとなく一緒に、終わりのない旅をしているウォルフと私。


ウォルフは私の事をどう思ってるんだろう。

私はウォルフの事を――‥



目の前でガチャリと扉が開く。

驚いて尻もちをつく私の目の前には、


「ウォルフったらーッ」


うふふ、あまぁく笑う美女と、


「だろぉー?」


その美女の腰に腕を回した、妙に上機嫌なウォルフが立っていた。


そして、私に気付かず何処かへと歩き出す。



――‥私はウォルフを、――‥好きなのに。




そのあまりに楽しげなウォルフの背中を見て、私のどこからか、ふつふつと何かが込み上げてくる。


「‥ちょっと。」


低い声が喉の奥から出た。

出したこともないような低い声だったからか、ウォルフはその声が私のものだという事に気付かない。