屋上か空き教室か迷ったけど

結局裏庭に出た。

廊下とは違って柔らかい空気が漂っている。

花恋はその空気がたまらなく好きだ。

全部を包み込めそうなくらい

広くて大きくて。

「おやすみ、里香」

花恋はそう言って

適当な場所に寝転ぶ。

「ちょっと待って。花恋、立って。あれ見てよ」

里香の焦った顔を見て、仕方なく起き上がる。

「何?」

面倒だな、と思いながら里香の指差す方向に視線を向けた。

「嘘、あの人…」