バタン・・・

閉まるドアの音。

翌朝、私達は過去に幾度と
愛し合ったホテルの部屋を
出た。

タクシーで送ってもらった
帰り道。

「ユラ、おまえ
 金も持たずによく何度も
 タクシーに乗るよな」

「不正乗車じゃないよ
 
 昨夜は、サキに貸して
 貰ったし・・・
 
 送ってくれてありがとう
 じゃあ・・・ソラ」

「ああ、ヒワ
 仕事がんばれよ」

「はい、ソラもツアー
 頑張って下さい」

「じゃあ・・・」

ソラを乗せたタクシーが
走り去る。

貴方が、私の事を本名で
呼ぶのは、ほんと久しぶりで
緊張した私は、他人行儀な
別れ方をしちゃった。

ソラ、少し寂しい顔してた。