「ああ、彼、料理人ね」

「そう
 
 昔なんてお姉ちゃんの御飯
 食べれたもんじゃなかったん
 だよ
 
 叔父さんに、おまえは頼む
 から、キッチンに立つなって
 お姉ちゃん言われてたっけ

 おかげで、御飯は私の担当」

「うまいの?」

「私?

 うまいよ」

「じゃあ、今度
 一番得意なやつ食わせてよ」

「いいけど、いいの?」

「ああ
 当分は、ホテル暮らしだから
 無理だけど騒動が落ち着いて
 家に戻れたら、おまえにすぐ
 連絡する

 ツアーに出る前に逢おう
 
 合鍵持って、おいで」