「莫迦、おめぇの体格は、どう見たってフライ級だ、それ以外の階級はねぇ!」

「そ、そんな…」

と、言う訳で、ここに一人、減量に苦しむ若いプロボクサーが居た。

彼は4回戦ボーイでプロテストを一発で合格し、晴れてプロボクサーと成ったのだが、C級で勝ちあがれず、更に、持ち前の食い意地が祟り、減量もままならず、階級を上げまくると言うボクサーにあるまじき行為を繰り返していたのである。

「いいかミツル、C級で3勝7敗、勝ちは3回共1ラウンドKOだ。よく聞け、おめぇのパンチは、当りゃあ効く。お前のリーチは神様が与えてくれた才能だ、無駄にすんじゃねぇぞ」