私だけを見て…



また先輩の横を歩けていることが嬉しい


先輩と会話ができたことが嬉しい


いつも別れる場所じゃなくて、ちゃんと家まで送ってくれることが嬉しい


「家ここなので」


「そう。じゃ」


「はい。ありがとうございました」


先輩を見届けて、家の中へ入ろうとしたところ、知らない男たちが近づいてきた


手で口を押さえられ、声を上げることが出来ない


一瞬のすきを狙って、男の手を噛んだ


わずかな隙間から思いっきり大きな声で叫んだ


「先輩!!」