何だよ。


何でそんな事言うんだよ。


果夜が姉弟じゃなかったら?


オレは。


オレは迷う事なく抱き締めて、キスをして、そして…愛し合う事を求めたさ。


そのオレの気持ちを察したかのように、果夜は抱き締めていた手からスルリと抜けた。


「はぁ。なんかお腹空いちゃったなっ」


「果夜、晩メシ食ってねーの?」


「うん」


「オレも腹ペコ。な、コンビニ行かね?」


「行くぅ」


「じゃ、オレ母さんに言ってくるな」


2階に上がり、玄関から


「姉ちゃんと買い物行ってくる」


と告げ、2人で手を繋ぎコンビニでカツ丼とペペロンチーノを買った。


もう果夜とは。


こうやって女装しなきゃ手を繋いでなんて歩けなくなるかもな。


日下部 蒼斗としてデビューしていまえば。


男のオレじゃ、もう何も。


何もできなくなるんじゃねーのかな。


どんどん縛られていく。


果夜との。


時間が減っていく。


その分だけ想いが募るよ。


なぁ、果夜。


好き、だよ。