「あお、と…?」


「いいからここにいろ。オレは姉ちゃんの一番傍にいる弟、誰でもない、日下部 蒼斗だよ」


「うん…」


思ってもいないくせに、わざと“弟”と口にした。


じゃなきゃ、自制心が効かない。


また。


またキスをしてしまいそうで。


「ねぇ?蒼斗?」


「ん?」


「いつも逆に心配かけちゃうね?」


「全く。世話の焼ける姉だよ」


「ねぇ?」


「どした?」


「もし…。もし、あたしがお姉ちゃんじゃなくても、こうしてくれた…?」


「何でそんな事聞くんだよ?」


「あ…。ううんっ、いいの!忘れて?」