......あなたは知らないと思うけど、私あのとき家の中に入ってから、ちょこっと玄関を開けて外を見たんだ。

そしたら、私達が今通って来た道をゆっくり引き返す、青い傘が見えた。



「......家、逆方向じゃん」


数分前に初めて会って初めて話した彼の優しさが嬉しくて、顔がニヤけた。


「ただいまぁ~!」


リビングでテレビを見ていたお母さんに声をかける。


「おかえり!お風呂入ってきな~!」


「はーい。」





「それで!?名前聞いたの!?」

速攻でお風呂を上がった私は、真衣に電話をかけてさっきのことを報告していた。


「あ.......」


「え!?まさか聞いてないの!?」


「忘れてたぁ.....」


「バカ~!運命の人だったかもよ!?」


「運命って...大げさ!それに、暗かったから顔はっきりと見えなかったよ~。」


「ふーん?ま、いいや!おやすみ~!」


「おやすみ~。」



......卒業、したんだぁー


制服を見て、改めて実感する。


引越し、楽しみだなぁ!


そんなことを考えながら、眠りについた。