「わかんない…。」。

膨れっ面のままの奈月が、視線を変えた時、
壁にかかった千羽鶴が目に入った。


奈月の視線を追って、駒野も千羽鶴を見つめた。


「ねえ、なつ?」。

「なに?」。

「気にならない?あの辺りの房。」。

「私のせいで、広告の鶴がいるって言いたいの?」。

奈月が睨む。