最後の音は、絶望を示しているように思えた。




「え・・・?」




携帯の電波表示は、赤いバツが書かれている。つまり、圏外。



「うそでしょ・・・?」



まさに、最悪。
携帯しか、持ってきていないのだ。
入っていると言えば、おやつ程度の一口サイズのキャラメル。
当然お金も持ってきていない。
ここから歩いて電波の届くところに行こうと思っても、絶望的。


何しろ、場所が分からない。




「どうしよー・・・。」



もうため息も出てこない。



「どうしたんですかー?」



「いや、どうしたって聞かれても・・・親とはぐれたんですよ!!」


そういって声のする方向、つまり後ろを振り返る。


この人も、着物を着ている。
男の人だ。ニコニコと笑っている。
やっぱり、私だけが異質みたい・・・。




「そうなんですかー。じゃあ、もうなぐさめの言葉もありませんね。」


「いや、少しくらいなぐさめてくれても・・・。」