「あんたの好きなもん飲めよ」


「えっ?」


「どうせ飲めないんだろ、コーヒー」


「へっ!?」



言いながら自分よりも幾分背の低い私をスッと見下ろした彼の眼差しは、何処か冷たいようなそれで…――それが何だかお兄ちゃんのそれと似ていた事に酷く寂しい気持ちを覚えた。


怖いとかそういう感情は湧かないけど、何故か私を無性に悲しくさせた。


お兄ちゃんと私みたいに、この人もやっぱり別世界の住人なんだろうか――。




それより……ていうか彼はどうして私がコーヒー飲めないってわかったんだろう!?


まさか……私って、そんなにわかりやすいの!?


もろ顔に出ちゃってたとか!?
苦手そうな顔しちゃってた!?


もしかしてすごく彼に対して失礼な事を仕出かしてしまったんじゃないか、と……途端にサァーッと血の気が引いて、自分の顔がぐんぐん青くなるのを感じた。



「いや……あんだけミルクとガムシロ持ってたら、誰でもわかるだろ。普通に」