人生橋を車で渡ると、目的地である豪邸はすぐ目の前のはずだった。

橋の下を通る川の流れを横目で見ながら、急ぎ車を進める。

緊張感が高まる。彼女もすぐそばにいるはずだ。

彼女よりも先に、豪邸へ辿り着かなければならない。



 橋を渡りきったところで、車が止まった。やはり豪邸は、目の前に見えている。

このまま目的地まで一気に走りたいところだが、ルールは守らなければならない。

そのとき、彼女の車が、僕の横をすり抜けて、先まで進んでいった。

しかし、豪邸寸前のところで車を止める。



 いける。

僕は冷静に、ルーレットを回した。残り5マス。ルーレットが止まった数字は、5だ。



「よっしゃ、あがりー!」

人生ゲームのコマをゴール地点である豪邸まで進めて、両手を突き上げた。

これで僕は、人生の勝ち組だ!



「ぬおおぉぉぉ、また負けたぁぁぁ!」

僕の向かい側で、恋人であるユシャ・チャンが頭を抱える。

「ドラゴン警部を喜ばせるために、職業『ネコ耳メイド』にこだわったのが失敗だったぁぁぁ!」



「フフフ、だがユシャ、職業がなんであろうと、僕はユシャと一緒にいることが一番嬉しいのさ」



「ぷしゅぅぅぅ」

興奮したユシャがオーバーヒートして、頬を赤く染めながら、自分の口で顔から煙が出そうなことをアピールする。



「チッ」後ろから舌打ちが聞こえたので振り返ると、敏感透けパン刑事……否、敏腕スケバン刑事のあっきーが、腕を組んで仁王立ちしていた。