願い事



小さく頷く


智城が立ち上がって真っ直ぐうちを見つめる


智城にしてみればうちがファーストキスの相手


だけどうちはもう、違う人としていた


1回だけど...


「ごめんね、智城」


そっと唇が触れる


「幸せになれよ、稔」


「...うん」


うちを離してそっと笑う智城


ごめん、ごめんね


「わがままに付き合わせてホントごめん。稔だけは、幸せになれ。じゃないと俺、許さねえから」


「分かってる。その優しさが、1番好きだった。バイバイ」


智城と本当に別れた


家に帰れば親に怒られる


「いつまで外歩いてるつもり!?高校から宿題出てるでしょ!?」


「...うん」


だけど、全然耳に入ってない


智城の顔が離れなくて...


うちから別れたくせして、心に穴が開いた気分で


ホント、ばかなことしたと思ってる