正面を向けないと思ってたのに、
"結婚"
って言葉が出た瞬間に、カズを見てた。


コイツら…俺の知らない間に何処まで進んでんだ?


「本当なら、もーとっくに式を挙げて
夫婦になってるはずなんやけど…。
式の当日に…記憶がわからなくなってたんだ」

カズは俺がどんなに目を合わせようとしてもそらしてばっかだ

「は?」
低い声が空気をさまよう。

「…そんなに怒るなよ。」

カズは少し焦ったのか、
無理に笑顔をつくって俺をなだめる

「怒ってねーよ。」
そんなカズの笑顔を見ても、俺の気持ちは収まらない。
怒ってないと言っても、怒ってしまうのが正直な気持ちだ

そんな俺をカズはお見通し


だてに高校生活を共にしてない…
俺の嘘つくときのクセなんかわかってる

「…んで、病院行ったら"記憶障害"って言われた。
俺の事もわかってなかったし…
精神的に落ちてたから式は延期したんだ…」

やっと俺が知りたかった内容に入れた