確かに渡辺は最近優しい。でも、ひなの感覚からすると、優しくなったと言うより、一年の頃に戻ったような、無理をしていない渡辺が帰ってきたような、そんな感じだ。

いや、でも、一年前よりお互いの距離は、近い。

教室なんかでは平気なのに、二人っきりになったりすると、時々改めてなんのコントだこれはと思う瞬間がある。

「でもさ、」

すっと近寄ってきた別の友人が、じーっと観察するように二人を見つめ呟いた。

「その割にはピンク感ないよね。新婚すっ飛ばして熟練夫婦っていうか。不思議。」

「だから籍入れた覚えないからね私!」

「もっと飛ばせば?スキスキビーム。」

「出るわけないだろ!備わってないよそんな機能!」

「……渡辺不憫…。」

二人の友人にため息をつかれ、理不尽な世の中にひなは天井を扇いだ。