絵本にでも出てきそうな王子様的な光景が、今、目の前で、しかも自分の髪で行われている。
なんとも耐え難い。
「や、やめてよ!あんた本当に高校生?!」
「ひなも本当に高校生?精神年齢低すぎ。」
渡辺はその綺麗な顔でクスクス笑って、ひなの髪をパサリと離した。
ハラハラと艶を放ちながら落ちる自分の髪が、まるで今までと違うものみたいで、 ひたすらドキドキする。
やめてほしい。
いったい何がしたいんだ、この男は。
「…じょ、冗談はそれぐらいでいいからさ。帰ったら?風邪うつるし。」
気を利かせて言っているのに、またこの男からは毒が出る。
「馬鹿なんじゃない?さっきの話聞いてたでしょ。せっかくだしご馳走になるよ。」
「ちょっとは遠慮しろよこの狐男!」
ひなは布団から飛び上がりながら突っ込んだ。
全く。
話してるだけで体力がいる。


