「桜ぁ~」
星華と友達になってから、1ヶ月が過ぎたころ。
うちらは、もう下の名前で、呼び合うようになっていた。
「ど~したん?星華ぁ?」
この日星華は、朝から何故かそわそわしていて、今も、うちに向かって、
猛ダッシュしてくる。
「桜!よ~く聞くんよ?」
星華は、いつになく真剣な表情で、話し始める。
それに、便乗してか、うちは1つうなずいたあと、唾を飲んだ。
「あのなぁ~。桜は前話したから、流音のこと知ってるやろ?」
流音とは、星華の彼氏で、かれこれ5年も付き合っているらしい。
「ええ。知っとるよ?流音君となんかあったん?」
「なにもかも!最悪なんよ!」
星華の目尻に、大粒の涙が、1粒浮かんだ。
「落ち着きぃ~や。なんなん??言ってみ?」
「あんなぁ~。昨日な、うちに流音きたん。で、部屋で話したりしてたら、いきなり星夜が帰ってきてな、
5人位友達連れておって、何故かみんな酔ってたんよ。だから、うちは流音を、クローゼットに隠そうとしたん。
でも、遅くてなぁ~星夜の友達1人が、うちんとこ来て、『星華ぁ~逢いたかったでぇ~』って、言ったんよ。
でも、酔ってただけなのに、流音はうちが浮気したと勘違いして、帰ってしもうたんや。うち・・・・どーしたらええねん。」
うちは、スゴイ驚いた。
いつもの話を聞くと、5年も付き合ってるから、喧嘩することはよくあるらしいけど、流音君が、勝手に帰るようなことは、しないと話していたから。
でも、うちは恋なんてしたことないから、どう答えたらいいか、分からなかった。
でも、1つだけ分かることは、星夜にすごく腹が立っていること。
だって、星夜は酔っ払った人を家に入れるなんで、常識がなさ過ぎる。
それに、未成年は、お酒飲んじゃいけないのに。
まぁ~そこは、うちもタバコ、アルコールは、たくさんやってるから、否定できないけど。
でも、星華を傷つけたことは、確か。
これだけは、星華に伝えておきたかった。
「うちは、恋は分からんけど、いつでも、星華の見方やかんな。」
「あ~とな。」
星華は、囁く様な小さな声で、お礼をしてくれた。
でも、うちはこの後すぐ、ひどい理由で、この他愛もない、約束を
破ってしまう。