「約…束…?」
星夜を見つめる。
星夜はうちの肩に手を乗せ、下を向く。
「桜…。オレが流音と親友なの知ってるよな…?」
「うん。」
流音君と櫻宮兄弟は、幼馴染み。流音君と星夜はとても仲の良い親友らしい。
「俺達さ…。流音と星華が付き合い初めて約束したんや。
‘流音は星華が嫌がることは無理やりしない。'‘星夜…俺は星華と流音の間に入らない'って。
だから俺は、流音と星華の間を取り持ったことも、引き離したこともない。流音も星華を泣かすことなんて、ほとんど無かったんや。」
うちは、もう一つ疑問を浮かべる。
‘流音君には、怒った理由がもう1つあったんじゃない?'
だって、そんな約束をして5年間色々耐えてきたのに、なんで星夜の友達がふざけて、‘浮気疑惑'をかけただけで、酷いことするの?
「ね…星…!」

‘ガチャッ!バンッ!!’

星夜がうちの言葉を察し、顔を上げた瞬間、ドアを乱暴に開け閉めする音が家中に響く。
「なんやっ!?・・・・!」
勢いよく立ち上がった星夜は、ベットに足をぶつけ、うちの頭に体重を乗せる。
「ごめんっ!重かったやろ!?」
焦った様にうちの頭から、体重をかけていた手を外す。
「ううん。たぶん今帰ってきたの星華だよ・・・・。きっと・・・・・。」
焦る星夜とは別に、何故かうちは冷静だった。
周りを見回すと、外はもう真っ暗で、月明かりと街灯の光りだけが、顔を出していた。
綺麗だった桜も、もうほとんど見えない。
うちは、制服のスカートのポケットから、真っ白のケータイを取り出す。