‘ガチャ・・・・ン・・。’

ドアの閉まる音。
一ヶ月前。
うちは、星華と親友になった。
その時、うちは星華が強い人に見えた。
なんでだろう。
なんで星華は強い人と、思い込んでしまったんだろう。
今の星華は、どうしようもなく弱々しい背中で、うちの前を去っていった。
星華の座っていた場所には、小さな涙の後が、絨毯に染込み、痛々しく消えていく。
クローゼットから服を出し、ボロボロに破れた服をゴミ箱に、残した形跡。
星華が、部屋を去ってどれくらい経っただろうか。
うちは、まだ星華の部屋にいた。
頭が動かない。
‘これは、どうしたらいいの?’
かけてあげる言葉もない。
なんてったって、うちには星華は、生まれて初めての友達。
接し方なんて分かりっこない。
できること、といえば・・・・・・。
「星夜に相談する・・・・。」
やっぱり。
これしかない。
うちは、一歩一歩階段を下りる。
リビングフロアーには、誰もないない様子で、星夜の部屋・・・。

‘ガ・・・・チャン・・。’

しんみりした空気に響くドアを開ける音が、酷く耳に残る。