翌日 昼すぎ
その雑貨屋に来た
お香のかおりがむせかえる
水栽培キットを購入したんだから
次は ちょっとランクアップしてみるぞ
なんて考えながら
店をうろついていたら
四角いケースに
大切そうに 種 が 並んでいた
アルファベットで書かれた文字
ス…カンク?
ホワイト? ウッド?
その文字の下には
値段
はぁ? 10粒 イチマン!!
高い種だな…
まじまじ見ていたら
「それ、鑑賞用だからね」
背後から声がした
雑貨屋の店長さんだ
「鑑賞用って…こんな高い種ってどんな花とかなんですか?」
僕の頭のなかで
鑑賞用=育ててはダメ=南米とかの毒草
になっていた
「あはは、花は咲くけどダメだよ。麻だから」
「麻って大麻?なんで?麻薬ぢゃないっすか」
「だから、育てたらダメ、見るだけで楽しむものだよ」
僕には とてもぢゃないが
法律を犯すことなんて
考えられない
まして 麻薬…
なんだか 怖くなった僕は
何も買わずに雑貨屋を
あとにし アパートに帰った。