その発表を聞いて、
先輩がおっし!と、抱きしめてくる。
でもその力はいつもよりもかなり弱く、
随分と加減をしてくれてるのだと気づく。
俺の腕は、先輩の腕の外にあるし。
これなら、抱きしめ返せる。
……あともうちょっとで抱きしめられる!
そう思った時だった。
俺のしようとしている事に
気が付いたらしい先輩が……
「マジで可愛いなあ、もう!」
そう言って、腕の力が強まった。
……本当に、いつになれば?
近くで見ていた先生が、
落ちる寸前で止めに入ってくれて、
午後の競技にも無事参加できた。
そして今、
見事に優勝を勝ち取ったのはA組だ。
先輩がこっちに手を振りながら
走ってくるのが見える。
……今度こそ、
俺は彼を抱きしめられるだろうか。
【おわり】



