いたいんですけど!【BL】


「先輩、一昨日女の子と
 2人きりで遊んだんでしょう?」


「……何で知ってんの?」


階段での会話を聞いただけ。
その後の現場は知らないけれど、
本当に2人で遊びに行ったらしい。


「偶然目撃しまして。
 デートじゃないんですか?」

嘘は言っていない。
話を立ち聞きしてしまったのは偶然だ。


「確かに遊んだけど、誤解だよ」

「どういう誤解でしょうか」

先輩はちょっと言いよどんで、
それから口を開いた。


「アイツに弱み握られてるんだ……」

それはもう不本意なのだと。
だからあれは決して浮気じゃないと
必死になって俺に訴えてくる。

例え向こうにその気があったとしても
絶対に断って断り続けるし!とも。


「……誤解ですか」

「誤解なんですよ。
 わかってくれる?」

「はい……すみませんでした」

とりあえず謝る。


「俺も、紛らわしい事してゴメン。
 今度からちゃんと言うから!」

「俺も次からはちゃんと聞きますね」


そんな感じで頷きあい、
またもや無言になるけれど、
それは居心地の悪い物ではない。