「俺と居ても、
いい事なんて、なんにも無いもんな。
……嫌になった?」
「なってません」
嫌な笑い方をしながら、先輩は続ける。
「それこそ嘘だろう?
じゃあなんで、別れたがるんだ。
いっつもいっつも、死にそうな思いして
俺に触られるのが嫌になったんだろ?」
「先輩に触られるのは嫌じゃありません」
先輩が怒ってる。
……あれ?
この人、俺の事かなり好き?
じゃあ、一昨日のあれはなんだったんだ。
「痛い事されても?」
「はい。どんだけ苦しくても、
それでも俺は、
先輩のそばに居たいんですけど!」
駄目ですか?
そう問う。
「……は?
え、何、別れたいんじゃないのか?」
「別れたくないですよ」
「じゃあさっきの会話は何だったの?」
意味が解らなそうにしている。
「別れたくないですけど、浮気は嫌です」
「浮気……?」
ますます混乱しているようだ。



