聞こえませんでした!と先輩は言う。
「別れましょうか」
「何、もう1回」
「別れましょう」
「ごめん、わかんなかった」
もっかい言ってと聞こえないふりではぐらかす。
「別れませんか?」
「別れません」
今度は、はっきりと言い切った答えが返ってくる。
「急にどうした?」
困りきった顔で聞いてくる。
その表情はまるで、捨てられた犬のようだ
……違う。
捨てるのはそっちじゃないのか?
「だって先輩、
女の子の方が好きでしょう」
「まあ、男と女どっちが好きかって
そう言われれば、そりゃ女だけどさ」
1番は俺だと、そう言った。



